意味論的社会学的ソキウス・ディレクティオーネ

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「超」勉強法

はじめに

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 この記事は、『「超」勉強法』(野口 1995)を読み、@oz4point5が重要だと思ったことを抜粋し、まとめた記事である。勉強法に関する書籍においては一定の評価がある本のようだ(TearTheSky 2013)。まあ、1995年発行にも関わらず、未だに名前があがることがある点でもそれは伺える。

 しかしながら、私はそもそも「勉強法」本にあまり価値を感じていない。それでもなぜ、このような本を読むのかといえば、もしかすると知らないテクニックがそこに書かれていて、それが大きく以後の効率を変えるかもしれないという一縷の望みをかけてだ。だが、その為に本一冊まるまる読むのは(こういうノウハウ本はさっと読めるが)やや苦痛である。そのため、以下に簡単に本書の内容をまとめておいた。参考にして欲しい。

 (追記)この本は読んでも読まなくて良い。読むなら、この本は「聖書」であると信じ切って読まなければ恐らく「効用」はない。そもそも20年前の本だし、多少はね。

0. 勉強はノウハウ

「勉強法」の説明と、本書の構成の紹介からなる章。

0-1. 勉強法の重要性

 多くの人に適用可能な勉強法が存在し、それによって勉強の効果を増幅できる。また、その副作用として試験での得点も上昇する。現在の大脳生理学や心理学がそれらの学問でもって実用的なアドバイスを「学習」に対して与えていないため、帰納的にそれを導き出さねばならない。

 また、現在においては学校を卒業してビジネスマンとなってからも学習を続けなければ生き残れないため、これは生涯を通して人間が直面する非常に重要な課題である。

0-2. 本書の構成

  • 第1章で「超」勉強法の基本原則を述べる
  • 第2章~第4章では英語、国語、数学という伝統的な教科区分に沿う具体的な方法論を展開する
  • 第5章では、暗記の方法論を述べる
  • 第6章は受験のノウハウ、第7章は勉強支援のノウハウである

 本書の読者は主に大学受験生を対象にしているが、就職試験や資格試験あるいは生涯学習を行うビジネスマンも一応想定はしている。

1. 「超」勉強法の基本三原則

 本書で紹介される勉強法の基本三原則は以下の通りである。便宜のため、通し番号と略称を付する。

  1. 面白いことを勉強せよ(興味原則
  2. 全体から理解せよ(全体原則
  3. 八割できたら、次の仕事にかかれ(八割原則

1-1. 興味原則

 本来の勉強は楽しいものであるため、その好奇心を利用するのが良い。今の勉強が楽しくないならば、教材を変えるか、教材の学び方を変えるべきである。また関連知識が増えると面白くなる。

1-2. 全体原則

 基礎は多くの場合、退屈であるため、興味原則に反する。一つの分からない場所に拘泥するのは多くの場合、時間の無駄で、通読してからある部分を見たほうが理解度が一般的にあがる。また、目次を読んで学習進度を把握するのも有効である。

1-3. 八割原則

 一般に物事の八割は簡単で、二割は難しく、それに見合った成果を得ることができない。全てを一度に理解する必要はなく、必要に応じて後で戻ってくれば、理解もより容易になっている。しかし、注意点として以下がある。

  • 八割原則は、色んな事を雑多にしてよいということではない。やり始めたならば、八割まで(無論、それが単純に前から八割のページとは限らない)はやりとげなければならない。

2. 英語の「超」勉強法

 教科書、あるいは例文を丸暗記するのがよい。10回程度、音読すれば暗記することができ、文法など諸々も自動的に勉強できる。ただし、この方法は時間がかかるので、一夜漬けには全く向かない。

 興味ある動画や文章、あるいは映画(ただし映画の英語は大抵難しい)のテキストを丸暗記するのが、英語のリズムもつかめてよい。ビジネスマンならば自らの専攻範囲の英語教科書を読むのも良い。

 文法書は、ある程度、英語が慣れてから「二割」として読むのが良い。単語帳も同じである。細かな発音に拘るよりも大量のテクストを頭に入れるほうが、多くの場合に役に立つ。

3. 国語の「超」勉強法

 文章を読む場合は、その構造を頭に入れてよむ(全体原則に基づく)ことで理解が容易になる。文章を書く場合も同じである。筆者は論文では序論:本論:結論の割合は1:8:1がよいとしている。

 試験問題の文章は全体のパラグラフの初めと終わりの一文ずつを読み、次に軽く通読、最後に問題や参照に合わせて拾い読みを行うのがよい。

 速さが求められる場合は音読をせず、緩急をつけて読むのがよい。この場合でさえ、先の全体把握を先にしておくと早い場合が多い。また、速読は意識せずとも大量の本を読めば、そのうち出来るようになる。

 文章を書く場合に、文章力はあまり必要ではなく、論理力こそが最も重要である。そのため、論理の推敲を何度も行わねばならない。また、これを念頭に読書を行うことは理解にも役立つ。

4. 数学の「超」勉強法

 分からない単語は百科事典なりインターネットなりで調べつつ、とにかく前に進んでいくことが重要。演習問題を多く繰り返すなり、先の単元を例題に従って問いているうちに自然とつかめてくる。基礎は重要だが、基礎から修得を試みるのは時間の無駄である。

 ここでも全体原則と八割原則が生きてくる。数学は論理だった体系であるから全体を俯瞰できるのは大きな強みである。「途中でわからなくなっても飛ばしてよい」というのは非常に大きな勉強の推進力でもある。

 受験数学や計算においては結局のところ暗記がものをいう。しかしながら公式の暗記よりも導出法を暗記したほうが楽な場合もあり、取捨選択が必要だ。また、自分は文系だから、大人だから、数学やコンピュータは出来ない、というのは甘えである。

5. 「超」暗記法

 基本として、対象に興味を持ち、理解し、関連付けるべきである。また、単語なり文章なりを暗記する場合は、それはむしろ「長い」ほうがいい。前後からの関連性から思い出せるからで、単語だけというのは忘れやすい。

 筆者は、あまり信用していないようだが、以下の暗記テクニックについても書いている。

  1. 共通属性法(覚えるものを共通属性でカテゴリ化する)
  2. 寄生法(覚えるものを他のイメージに結びつける)
  3. ストーリー法(覚えるものをストーリー仕立てにする)

 一秒、二秒、四秒、数分、数時間、一日、一週間、一月、半年後と繰り返して想起を行うことで記憶を固定するのがよい。

 受験においての暗記だが、理科などは暗記よりむしろ理解のほうが重要であるし、社会の年号は重要な年号を軸として語呂合わせ等で覚えそこから関連づけるのがよいとしている。そして、何よりも興味を持つことを優先したほうがよい。

 元も子もないことだが、暗記しなくてもメモで済むならそれを活用した方が遥かに良い。暗記よりも創造的な仕事に時間は割かれるべきである。

6. 「超」受験法

6-1. 筆記試験

 八割原則をもとに、難しい問題は飛ばしてとく。論述はていねいな字で書く。また、試験をする側が何を問いたいのか見極めるのが重要である(逆に言えば、変に込み入った事は聞こうとは普通しない)

 あまりないアドバイスとして、寒いとか暑いとか机が凸凹しているとか、受験票を忘れたというのは一人で悩まずにさっさと試験官に言いつけるべきである。そのようなことで悩むのは時間の無駄である。

6-2. 面接試験

 筆記試験の出題者と違い、面接試験の相手は、多くの場合がそれを専門としていない素人である。そのため、単純に「相手と気軽で常識的なコミュニケーションを取ることが出来る」のが最も重要な点であり、わからない事は素直にわからないと言ってしまった方が良い。

 なんだかんだ、本音より模範解答のほうが求められることが多い。そのほうがリスクが少ない。試験官は「取る理由」より「落とす理由」を探している。また、友人とで面接をシミュレーションするは大いに効果的である。

7. 勉強の「超」ヒント集

 集中し、歩き(身体を動かし)、常に勉強することが重要である。また、脳内に余計な情報があると処理が滞るため、出来る限りそういうものはメモとしてアウトプットしておくに限る。気分転換が必要なのは身体だけで、脳は必要ない、気分転換したくなったら在るきながら本を読むのがいい。

 また、長期間(十年単位)のスケジュールを立て、それを細分化していくのも有効である。電車で寝てはならない、英語の勉強か暗記をせよ。教師の役割は興味を抱かせることと、重要な点とそうでない点の区別を教える、そして考え方の筋道を教えることである。逆に言えばそれ以外は教師だけではできないので、それさえできれば独学でもよい。

 クラシックは脳によい。

8. 未来への教育

 学校教育のカリキュラムと社会の要請が全く合致していない。学校教育も「答えを探す」ものになりがちである。そのような中で、生き残っていくには自分で正しい勉強をしつづけるのが必要であろう。

9. あとがき

 勉強しろ。勉強。

 

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